ダイビング後の高所移動について

ダイビング後の高所移動の「高所」とはいったい標高何メートル以上何だろうか、ということについてちょっと調べてみた。

結論としては統一した見解はないということなんだけど。

  • 2022/09/07
    USネイビーのテーブルについて追記
    後誤字も修正。

きっかけ

巷でよく聞く高所移動時の標高は「300m」を境として、よろしくないという意見を多く聞く。

しかし本栖湖(標高900 m)でダイビングをするような、高所ダイビングではすでに300mを超えているのと、手持ちのダイコンには、ダイビング後に行ってはいけない移動限界高度という情報が出るのだけど、その単位は1000m単位となっていて通常のダイビングではだいたい2000mとなるのが常である。

そうして、この300mというのはいったいどこから出たものなのか、という疑問がわいた。

調査1

PADI OWマニュアル

まず見たのは、PADI OWマニュアル。
手持ちのは15年前の古いものなので、新しいものだと変わっているかもしれないが、以下の様な記載がある。

まず「減圧症」での記述。

ダイビング後に飛行機に乗ったり、自動車で山道を走ったりすることも、減圧症になる危険性を高くします(これについては第5章で詳しくお話しします)。

で、第5章では以下の様に記述されている。

現時点では、ダイビング後に高所を自動車で走ることに関するガイドラインはありません。ですから、余裕を持たせることが最も賢明なやり方だといえます。高いところへ行く前に長く待てば待つほど、危険性は少なくなります。ダイバーが使っている特定のガイドラインがあるかどうか、最寄りのPADIダイブセンター、PIRAリゾート、またはPADIインストラクターに聞いてください。

OWマニュアルに標高に関する記載はない。

PADIの見解?

BLOG内に記述があった。

ダイビング直後に絶対やってはいけない10のこと
減圧症を回避し、安全にダイビングを楽しむためには、ダイビングの前後にすべきことだけでなく、ダイビング後にすべきでないことをを覚えておくも同じくらい大切です。ベテランダイバーでさえ、忘れてしまっているかもしれない項目をいくつか紹介します。

この2の山登りに

標高400m以上の移動は明らかに発症リスクが高まります。

ここでは300mではなく400mという記述になっている。

DD NETの情報

PADI BLOG内のリンク先をたどるとDD NETドクターからのアドバイスということで以下の情報がある。

DAN JAPAN DD NETドクターからのアドバイス - 最終回 減圧症にならないために
DAN JAPAN DD NETドクターから、減圧症についての知識をアドバイスいたします。

ダイビング後に高所移動を予定している場合(標高400mへの陸上移動を対象にした研究において)は、浮上速度が少なくとも18m/分を超えない、減圧停止を必要とするダイビングを行なわない、安全停止を3~5分以上行なうことを大前提とし、その上で、高所を通過する時点でのプレッシャーグループ(USネイビーのテーブル)をA~Cにすることが奨励されます。プレッシャーグループが若い(Aに近い)ほど減圧症の発症は少なく、A~Cのダイバーであればほとんど減圧症にならないからです。
A~Cにする手段は、潜水深度と潜水時間を控えめにするか、ダイビング後に時間をあけて高所移動するかです。

PADI BLOGの内容をもうちょっと詳細に記述されている感じになっている。

高所移動に関する研究

DD NETドクターが書いた記事の「高所移動に関する研究」とは何かちょっと調べたところ、それらしい文書があった。

http://www.divingmedicine.jp/pdf/high_place.pdf

この研究では過去の減圧症罹患者の行動を調べて、高所移動後減圧症となったらしい人の情報をまとめたものになっている。ここでの高所移動の閾値として400mを用いていて、それはビュールマンの減圧理論上で出た高所と定義していたのが400mだということらしい。
ちなみにここから先調べることができなかった。

400m説に

研究結果から導き出された情報をPADIのBLOG内で出していることから、高所移動の標高というのは400mというのが一つの基準になるのかもしれない。

調査2

他300mという記載がどこかに無いかを調べてみた。

PADI OWマニュアル

「高所」ダイビングの定義として300mが出てくる。

これはRDPを使ったプラン設定ができるのが300m未満の場所でのダイビングで、それ以上の場所でダイビングする場合は換算表が必要ですと言った物。

日本では、この300mが認知されて300mという数値が出たのかもしれない。

NOAA Diving manual

アメリカ海洋大気庁から出ているドキュメントの4.5に以下の様な記載がある。

アメリカ海軍の潜水表では、高度について次のように仮定しています。
高度に関する仮定。

ダイビングを行う水面での高度は、水面から1,000フィート(305m)以下である。
ダイビングを行う水面の高度は、海抜1,000フィート(305m)以下である。
海抜305m)以下であること。
ダイビング後、少なくとも12時間は、ダイバーは海抜1,000フィート(305m)以下の高度に留まる。
海抜1,000フィート(305m)を超えない高度に留まる。
海抜1,000フィート(305m)以下の高度に留まる。
海抜1,000フィート以上の高度でダイビングを行う場合、またはそのような高度に移動する場合は、常に海抜1,000フィート以上でなければならない。
海抜1,000フィート以上の場所でダイビングを行う場合、またはダイビング後にそのような高度に移動する場合。
さらに考慮しなければならないことがあります。

300mに関しての結論

PADIの高所の定義はあるのだけど、高所移動時の300m(実際は1000フィートだけど)の出どころについてはNOAA Diving manualの元ネタアメリカ海軍が出所ということになるのだろうか。

最後に、高所移動について

結局、注意事項としては「高所移動に関する研究」をもとに記述したらしき文書があり、その中の予防・対策の内容がとりあえず気にしておくべき事柄なのだろうか。

その内容というのが前出「DD NETの情報」の内容になる。

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